第一章 出会い編

2月17日(日)
「私は一人で生きていく。」小さい頃にママが亡くなって、私はいつも独りぼっちだったの。パパは仕事で忙しくて私の事あんまり構ってくれなかったし・・・とりあえず日曜日だけどヒマ。学校の先生は「来年は高校受験、このままじゃいい高校に行けないぞ。」ってうるさく言うんだけど興味ナシ。いいじゃん。高校なんてどこだって・・・あーヒマだ・・・

2月19日(火)
放課後、すぐに学校を出ました。いちおバトミントン部なんだけど、練習メンドいしほとんど幽霊部員だし。・・・家にまっすぐ帰らずに、街へ出かけていきました。ふと通 り掛かったモデルガンショップのショウウィンドウに、西日を浴びてギラリと光るバタフライナイフを見かけました。それを見て何を思ったか私はふらふらとお店に入ってそれを買ってしまったの・・・包みを開けてそれを何気にポケットに入れてみたら・・・思った通 り!なんだか自分が倍ぐらい、強くなった気がしました・・・今までの麻衣とは違う、スーパー麻衣ちゃんの誕生です。

2月21日(木)
スカートのポケットに「それ」が入っている事で、私は少し強くなりました。同級生の男の子にも少し高飛車になれました。放課後、カトケンにまた呼びだされました。本名加藤ケンイチ。DA PUMPのISSAに似てるっていうの鼻にかけてるらしいの。でも他人から見ると単なるM字ハゲ・・・でこの前コクられたんだけど保留にしてたんだよね・・・
「なー広瀬。先週バレンタインデーに俺チョコくれなかったよなー。俺ショックでコンビニ行って自分で板チョコ五枚買って食ったのね。そしたら鼻血ぶーでよー・・・みんなお前のせいだからな・・・」
・・・あ、そう・・・っていうかただのバカ・・・
「っつーか1ヶ月も前から、『つきあってくれ』って言ってんじゃんよー。どーなんだよ」
カトケンには全然興味ありません。コクられた時も、即答でフるのはかわいそうかなーって思っただけ。でもしつこく付きまとわれるのはウザいし、それよりも何よりもカトケンと麻衣がつきあってるって噂になる方が恐いわ。わたしは勇気を出して・・・
「100万円もらっても、やだ。」 言えました。携帯サイトの「失恋シミュレーター」ぐらいにスパっと。さすがはスーパー麻衣ちゃんです。

2月23日(土)
朝遅く、起きてみると珍しくパパが家に居ました。中学生になってからあまり話す事もなくなっていたんだけど、珍しく声をかけられました。
「麻衣、明日ヒマか?」
「ヒマだけど、何?」
「ちょっとパパに付き合え」
何でしょう?

2月24日(日)
「パパな・・・今度会社の部下と結婚する事にしたんだ・・・」
車を運転しながら、パパが呟くように言いました。
「・・・あっそ・・・」
「『あっそ』って何だ。お前にお母さんが出来るって言ってるんだぞ!」
ええっ!?そりゃそうだ・・・ってちょい待ち!もしその「お母さん」っていうのがうるさい教育ママタイプだったら、私の生活は今まで以上にキュ〜(窮)屈になるって事じゃん!ちょっとそんなのやめてよ!・・・と言い出しかけた時、もう40近くなのに独り身の我が父親の事をふと思い、言葉が止まりました。私も大人になったもんだ。
「とにかく、来週彼女を連れてくるから、一度会ってくれ。麻衣がどうしても嫌だったら、あきらめる。」

2月25日(月)
パパが女の人を連れてくる・・・一体どんな女なんだろ・・・私の心は揺れました。私は独りぼっち。ファザコンでもなんでもないけど・・・何となくその女の存在ってムカつくわ・・・もし嫌な女だったらこのナイフで脅して追い返して・・・って私一度もこれ使ったコトないじゃん。

2月28日(木)
まずはシミュレーション。家で何度も練習して、何とか片手でバタフライナイフを扱えるようになりました。(練習中に親指の付け根を怪我しました・・・ダサ)とりあえず学校の近くの静かな場所でちょい待機・・・来ました。カモが・・・ランドセル姿が私の前を通 り過ぎる間もなく、
「ねぇ、ボク。お姉さんにお金、貸してくんない?」
コトは簡単でした。別にナイフを突き付けるでもなく単にポケットから取り出しただけで、すぐに財布を差し出しました・・・一万6・・7・・8千・・・ガキは結構お金持ってます。
「うふふ。これは返すわ。ありがとね。」
空の財布を返すとカモは泣きながら逃げて行きました・・・完璧だわ・・・自分へのご褒美にピクミンを買いました。

3月2日(土)
小学生相手には完璧だったけど、明日の相手は大人の女・・・スーパー麻衣ちゃんもちょっと不安・・・左手でピクミン達を操りながら、右手でナイフの練習をしました。

3月3日(日)
対決の日がやって来ました。客間のソファに座ったその女は・・・きれいなヒト・・負けた・・かも・・・
「麻衣、この人が礼子さんだ。お前のお母さんになってくれる人だ。ほら、挨拶しなさい」
「ふうん・・・」
パパの声も上の空でした。脅して追い返すなんてとんでもない・・・会話するパパとその女の間には、誰も入り込めないような「世界」のようなものを感じました。パパをこの女に取られてしまうんだ・・・そんな実感が沸いてきました。ホントにファザコンでも何でもないんだけど・・・例えようもないくらい複雑な気持ちになりました。

3月6日(水)
あの人が帰ってからも、私の心は揺れ続けました。パパとあの人は愛し合ってる・・・あの人が家に来たら、もう私の居場所はなくなっちゃうのかな・・・私はどうすればいいんだろう? ・・・そんな事をずっと考えてました。
「・・・さん・・・広瀬さん!」
はっ!ここは教室。そして私を睨んでいるのは英語の藤井。まだ20代でカナダに留学経験アリ。
「今は授業中ですよ、広瀬さん。ボーッとして・・・一体何を考えていたの?」
「はっはい?」
不意をつかれて変な返事をしてしまいました。
「もぉ・・・今度私の授業をちゃんと聞いてなかったらお仕置きですからね!」
・・・周りはクスクス笑ってました。それにしても・・・オシオキって、どんな事をするのでしょう?

3月7日(木)
午後、家に帰ってみると、荷物を運ぶおじさんたちが来てました。 あ・・・そうだ。今日はあの人の部屋に家具がはいるんだっけ・・・まだ小学生の頃、一人でかくれんぼごっこ(私って、孤独よね)をしてたあの部屋・・・もうほとんど入ることもなかったけど、それがあの人のものになるんだ・・・また複雑な気持ちになりました。 あの人が来てから私が失うのはこの部屋のスペース分だけでしょうか・・・いいえ。もっと大きい気がしてなりません。

3月9日(土)
昨日はリフォームの人も来ていたのでしょう。殺風景だった部屋のクロスやカーテンが真新しいものになっていて、前と全然違う感じです。何だか新婚さんの部屋(?)みたいになっていました。この部屋で・・・あの人が暮らす・・・昨日まで私が自分のもののように出入りしていた部屋が私のものじゃなくなる・・・ この部屋であの女とパパが・・・せっ・・SEXまで!・・・想像するととても嫌な気分になりました。急に怒りがふつふつと沸いてきて、私はスーパー麻衣ちゃんになりました。新しいベッドの下に潜り込み、ベッドの背の部分にナイフで刻み込みました。「Mai's room(私の部屋)」・・・ しつこいようですが、私はファザコンじゃありません。自立した女の子です。

3月10日(日)
ついにあの人が家にやってきます。パパは引っ越しの手伝いをするとかで、朝から出かけていました。なんだかそわそわして、落ち着かない感じです・・・すぐに二人はやってきました。引っ越しの作業はすぐに終わったみたいで、やがて二人の楽しそうな会話が聞こえてくる・・・私は自分の部屋で息を殺して様子を窺っていました。
台所で音がしていました・・・私は何となく、ふらふらと部屋を出て、ドアの陰に隠れて二人を覗きました。食卓で、パパとあの人が楽しそうにお茶を飲んでいました。・・・悔しいけど、綺麗なひと・・・つやつやの長い髪に、今日はこの前のスーツ姿とは違って、ニットのセーターに、ロングスカート・・・大人の女、っていうかお姉さんな感じです。そこは完全に二人の世界っていう感じで私なんかが入り込む場所はありませんでした。そう、私が失ったものは、あの部屋だけではなかったのです・・・キッチンも、パパも・・・みんなあの女に取られてしまいました・・・。その時、
「あっ、麻衣ちゃんも一緒に・・・」
「おお、そうだ。麻衣、こっちへ来なさい」
やばいっ!二人に見つかってしまいました。「一緒に・・・」なんて言ってるけど、多分私に気を遣ってるだけでしょう・・・ホントは二人きりでいたいはず・・・ 今更しおしおと二人の前に出ていくわけにもいかず、私は黙って家を出ました。自転車に乗って河原まで行きました・・・あの家には私の居場所はもうない・・・そう思うと、泣けてきました。私はいつも独りぼっち。別 にパパが相手してくれなくても、全然平気だったのに・・・どうしてでしょう?私は河原に体操座りになって、一人で泣きました。

3月11日(月)
朝降りてみると、いい匂いがしました。二人が居て、朝ご飯を食べていました。新鮮そうなサラダとスープ、そしてバターロールなんかが食卓にありました。
「あっ、麻衣ちゃん・・・朝ごはんよ・・・」
「朝ご飯よ」・・・私が覚えている限りでそんな言葉、生まれて初めてかけられました。大抵、前の日に買っておいたパンをかじって牛乳で流し込むか、駅前のコンビニでウィーダーinゼリーを飲む、っていうのが私の朝ご飯・・・家庭的な「朝ご飯」にちょっと惹かれてしまいました。でも、あなたは勝利者で私は敗者・・・情けをかけてもらう必要はありません。わたしは黙って家を出ました・・・(私って、弱・・・) 朝ご飯を食べ損ねたので、学校でも元気がでませんでした・・・あー早く休みにならないかなー・・・

3月12日(火)
今朝もあの人は朝ごはんを用意していました。「麻衣ちゃん・・・朝ごはん食べないと、元気出ないわよ・・・」そう言われましたが、あの女が作ったご飯を食べる=あの女に降伏する、という事。いただくわけにはいきません!そんな私の秘密兵器がこれ。最近人気のシリアル付きヨーグルトです。コンビニのゴミ箱に袋を捨てると、私は勢いよくシリアルヨーグルトを流し込みました。

3月13日(水)
今日から期末テスト・・・私が一番嫌な時期です。何と言っても、私、勉強できないし・・・ってか、興味もないし・・・あの女が来ることになってから、とても勉強どころじゃないし。・・・テストの時間中も、自分がこれからどうすればいいのか、ボンヤリと考えていました。・・・思いきって、家出しちゃおうか・・そういえば、最近テレビによく出てくるハゲのおじさん、なんでも総合商社をやっているらしくて北海道の上の方の島に誰でも泊まれる家を建てたそうです。う〜ん北海道かぁ・・・ まだ寒そうだしね〜・・・
そうしているうちに終業のベルが鳴り、テストが終わってしまいました・・・たぶん散々な成績なのでせう・・・

3月14日(木)
夜、帰ってみると、めずらしくパパが帰ってました。・・・キッチンにはあの女・・・その部分だけ、「家庭」って感じです。普段いつも「仕事が忙しい」と言ってあまり家にかえらないパパですが、あの女が来た途端、マイホームパパに・・・?やっぱり、女の力ってすごいと思いつつ、私というものがありながらいままであまり帰ってこなかったパパを恨みがましい目で睨んでしまいました。
「麻衣ちゃんも・・・」とあの女は言いましたが、無視して自分の部屋に戻りました・・・ホントに狭くなってしまった、私の居場所へ・・・

3月15日(金)
「あっ、麻衣ちゃん・・・朝ご飯は・・・?」
・・・あの人、まだ懲りずに私に声をかけてきます。ちらっと食卓を見ると・・・オーブンで焼きたてのコーンブレッドとスクランブル・エッグ、それに・・・私の好きなシリアルヨーグルトまで・・・!これにはかなり惹かれましたが、私はあの女に尻尾を振ってまで、仲良くしてもらう気はないのです。 「いらない・・・」
内心、ちょっと後悔しながら私は家を出ました。水・木と多分テストの成績は最悪・・・でもテストが終わった開放感で、放課後ヒカルとカラオケに行きました。この調子で、この週末も遊びまくりましょう。

3月16日(土)
今日は学校が休み・・・あの女がいる家にいても、楽しいことなんてありません。朝からヒカルと遊びに行きました。夕方帰って来ると・・・えっ!なんて事・・・!私の部屋が綺麗になっています。床に散乱してた服や下着はきれいになくなっていて(そういえば、もう換えの下着、なかったのよね・・・)ベットのシーツもしわになってない・・・私はサッと血の気が引くのを感じました。
(あの女に、部屋を見られた・・・!)
私は猛烈な勢いであの女がいるキッチンへ行きました。
「ちょっと!おばさんっ!どうして私の部屋に勝手に入るのよ!!」
「どうしてって・・・麻衣ちゃん、お洋服洗濯してなかったでしょう?」
うわっ・・バレた・・・ちょっと戸惑ったような感じで、その女は言いました。でも、あの女が乙女の部屋に入るなんて、許せません!
「もー!!私の事なんか、どうでもいいじゃない!ほっといてよ!」
「いいえ。ほっとけないわ・・・だって、麻衣ちゃんも私も、一緒に暮らしてるんだし・・・」
麻衣ちゃんも一緒に暮らしてる・・・何言ってるの!?あなたは私からパパと居場所を奪ったのよ!今更何を偽善者ぶった事を言ってるのでしょう?・・・私はまたカッと来て怒鳴りました。
「いい人ぶらないでよ!本当は私なんていない方がいいくせに!・・・ムカつくわ!とにかく洗濯は自分でするから!ほっといてよね!パパとあんたのと一緒に洗われるなんて、金輪際、やめてよね!」
「なっ何て事言うの!・・・ちょっと!こっちへ来なさいっ!」
あの女は急に怒ったように私をにらむと、私の腕を掴んで、自分の所へ引き寄せようとします。 やっ・・・何すんのっ!・・・意外に強い力で引っ張られ、ソファの所まで連れてこられました。抵抗する暇もなくあの女の膝の上にうつぶせになるような姿勢にされました。・・・えっ?そして、息をつく間もなく、私のスカートを捲り上げたのです!
「嫌ーっ!何するの!やめてよーっ!」
「いいえ止めないわ!あなたみたいな言葉遣いの悪い娘は、お仕置きよ!」
お仕置き・・・なんであんたなんかにお仕置きされなきゃいけないのよ!私は必死で逃げようと暴れました。でもあの女は私を押さえつけたまま、手を振り上げました。
パンッ!・・バシッツ!ビシーッ!
嫌っ!痛いっ! 抵抗する私を気にも止めず、あの女は私のパンティに手をかけて、一気に引きずりおろしました・・・世の中で一番憎んでいる女の膝の上でスカートを捲られ、剥き出しのお尻を見られる・・・死ぬ ほど悔しくて・・・屈辱です。私はまずあの女の膝の上から逃れようと暴れましたが腰のあたりを押さえつけられて、なかなか思うようになりません。
パンッ!・・バシッツ!ビシーッ!
「痛いっ!何するのよーっ!やめてよー!」
今度は裸のお尻を力いっぱいぶたれました。何度も何度もぶたれました・・・最初はあの女が憎らしい、恥ずかしい、悔しい・・・という思いで必死に暴れましたが、あの女は負けずに私のお尻を叩き続けます。ぶたれたお尻の痛みが増してきて、手でお尻をかばおうとしましたがあの女は残酷にもその手を捻り上げて何度も何度もお尻をぶったのです・・・耐えきれなくなって、涙が出ました・・・何回私を叩けば気が済むの・・・?
バシッ!・・・パチンッ!
「ああっ・・・あっ・・・」
もう抵抗する気力もなくなりました・・・お尻はもう火がついたみたいに熱く、ひりひりしてとても我慢できません・・・あうっ!もうたたかないで・・・何でもするからぁ・・・
バシーン! 「あーっ!」
「麻衣っ!ちゃんと反省しているの?」
あの女の声が聞こえましたが、もう答える気力もありません・・・もう・・やめて
・・・ パシンッ!
「ああっ!はんせい・・・してますぅ」
もう一度お尻を打たれて、痛みに耐えきれず私は屈服しました。
「どうして、お仕置きされてるか、わかってるわね!」
・・・どうしてそんな事、言わなきゃいけないの?
バシーッ!
「あぅっ!・・・こ・・ことば遣いが・・・いけなかったから・・・」
一度ならず二度までも、あの女に屈服してしまいました・・・ あの女は、すこし満足そうな顔になると、また私のお尻をぶちはじめました。えっ?まだ終わりじゃないの・・・?もう真っ赤に腫れた私のお尻に、何度も痛い平手打ちを見舞いました。・・・私からパパを奪ったばかりか、こんなに酷く私をいじめるなんて・・・ やっと彼女の膝の上から解放されたとき、私の顔はもう涙でぐしゃぐしゃになっていました。お尻は火がついたように痛み、私はもうどうしたらいいか分からず、あの女の膝の下で泣いていました。 私をひどく虐めたあの女が立って私の側に来ました・・・やっ・・・なに? 一瞬、まだ何かされるのかと、ビクッとしました。でもあの人はもう私を叩きませんでした。私の肩に手を回して、私を抱きしめたのです・・・長い髪の毛の、甘い香りが私を包みました。
「麻衣ちゃん・・・私はあなたが憎くてお仕置きしたわけじゃないのよ・・・」
さっきとは違う、優しい声になっていました。良かった・・・もう怒ってない・・・安心感からか、また涙が出てきました。あの人の腕の中で、私はいつまでも泣いていました。 その夜、ベッドでまだヒリヒリと痛むお尻をさすりながらずっと考えていました。あの人が私にした事・・・あの人が私のパンツを下ろしてお尻をぶった時、まるで昔話の中に出てくる悪い継母に虐められているような場面 を連想しました・・・痛みに耐えかねて、私は「はんせいしてます」・・・なんて言ってしまいました。屈辱以外の何ものでもありません。だけどその後で、あの人に優しくされた時は・・・なんだか不思議な気持ちになりました。何か大きなものに包まれている安心感というか・・・癒されているというか・・・ 何がなんだかよくわからないまま、いつの間にか私は深い眠りに落ちていました。

3月17日(日)
朝、起きようとするとお尻にズキズキと鈍い痛みが走りました・・・そう・・・昨日私はあの人にお尻をぶたれたんだわ・・・1階の台所で音がする・・あの人はまた私のために朝ごはんを作っているのでしょうか・・・もしそうだとしても、あれだけ無視しといて今さらどうやってあの人と接したらいいのでしょう・・・「ああ、礼子さん、昨日はどうも・・・朝食、いただくわ。」なんて言えるわけがありません。 なるべく気付かれないようにそーっと家を出ようと玄関へ行きました。するとあの人が出てきて少し怒ったような顔で私を見ました。
・・・イヤっ!止めて!
あの人は私の腕を掴むとリビングのソファの所まで連れていきまた膝の上でうつぶせになる格好にさせられました。あぁ・・・お尻をぶつのね・・・ 昨日と全くおなじ要領でスカートをまくられて、パンツをおろされました。昨日と違うのは私にそれほど抵抗する気がなくなっていた事ぐらいでしょうか・・・昨日、ものすごい痛みと優しさを同時に与えられて、私の心は揺れていました・・・あの人を昨日までのようには憎んでいません。
「麻衣ちゃん!」
パシッ!「ああっ!」
「どうしてママがつくったご飯がたべられないのっ!」
ピシャリ!「あっつ!痛ーい!」
「だ・・・だってぇ・・・」 ・・・としか言いようがありません。
「だってじゃ・・・(バシッ!)ありませんっ!」
パシーン!「あぁっ!」
「ママは、あなたの為を思って、毎日ご飯を作ってるのよ!」
ママ・・・私には無縁の存在でした・・・ママにお尻ペンペンされる娘・・・こんな感じなのでしょうか・・・
バシーッ!「・・・くぅっ!」
昨日叩かれて、まだズキズキと痛むお尻をまた叩かれて、私は痛さのあまり泣き出してしまいました・・・昨日ほどは叩かれませんでしたが、お尻たたきが止んだころにはもう涙がポロポロながれていました。あの人は膝の上で泣いている私を抱き上げ、昨日と今日ので真っ赤になって、ところどころ蚯蚓腫れになったお尻ナデナデしてくれました。熱く火照ったお尻が、スーッと癒されていくのを感じました。
「麻衣ちゃん・・・これからはママが作ったご飯、食べてくれるわね・・・?」
「・・・はい・・・ぅぅっ・・・」
これまでもあの人の作ったご飯に心惹かれることがありましたが、どうしても素直になれなかったのです・・・それにしても、どうしてこの人は私のお尻をぶってまでご飯を食べさせたいのでしょう・・・あの人は私じゃなくて私のパパが好きなだけ。私にまでそんなことする義理はないのです。 でも・・・もしかして、この人が私の事を、本当の娘のように思ってくれるのだったら・・・
「麻衣ちゃん、ご飯をたべる時には『ママ、いただきます』って言うのよ。でないとまたお仕置きですからね。」
久しぶりにテーブルの椅子に座った私にあの人は言いました。
「・・・はい・・・ママ・・・いただきます・・・」
ママ・・・なんて生まれてはじめて口にしました。そして、おそるおそるあの人・・・ママ(?)の作ったご飯を食べ始めました。
!・・・美味しい・・・
何故でしょう?パンでもサラダでも、同じようなものはコンビニにいくらでもあります。でも、なにか違うのです・・・何だか懐かしいような・・・人の温もりみたいなものを感じます。向かいの席にはママが座って、優しい目で私を見つめています・・・はっ!その時私は気付きました。私に足りなかったもの・・・私に必要なもの・・・私はママの作ったご飯を食べながら、また泣き出していました。ママがわたしの側に来て、包み込むように抱いてくれました。
「・・・寂しかったの・・・礼子さん・・・ママにパパを取られて私は独りぼっちになって・・・ぅぅっ・・・」
ついに、本音を告白してしまいました・・・
「麻衣ちゃん・・・これからは私があなたのママよ・・・もう独りぼっちじゃないのよ・・・パパよりもうんと優しくしてあげるわ・・・これからは私の事を本当のママだと思っていいのよ・・・」
うれしい・・・私はまた泣いてしまいました。でもそれは、悲しい涙でも、悔し涙でもありません。(私はもう、独りぼっちじゃない。)

第一章 出会い編 < 完 >


 
 
 
   
   
 
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